No.004
70歳未満まで積める第5号加入者|3年だけ開く経過措置と6.2万円の枠
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60歳になったら積むのをやめて、あとは取り崩すだけ。私はiDeCoをそういう制度だと思っていました。2026年12月1日に施行が予定されている改正で、その線が10年うしろに動きます。
ただし、誰でも70歳まで積めるようになるわけではありませんでした。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取り始めた人は、その時点で入口が閉まります。受け取りを始める時期の判断が、積める期間の判断も兼ねることになる、ということです。
厚生労働省の資料から、条件と限度額、そして3年だけ置かれた抜け道を並べます。
いつから、何が変わるのか
根拠は2025年6月13日に成立した年金制度改正法です。厚生労働省のページは、令和7年5月16日に第217回通常国会へ提出され、衆議院で修正のうえ6月13日に成立した、と書いています。
私的年金まわりの施行は2段階に分かれていました。2026年4月1日に施行されたのが、簡易型DCの通常の企業型DCへの統合、マッチング拠出における加入者掛金の額の制限撤廃、自動移換に関する事業主の説明時期の見直し、中小事業主掛金納付制度の届出の簡素化。
そしてiDeCoの加入可能年齢の引き上げと、iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げは、2026年12月1日施行予定とされています。同じページで前者だけ「予定」と書かれているわけではなく、12月1日施行の2項目にそろって「予定」が付いています。
第5号加入者という区分が新しくできる
厚生労働省の資料には、加入対象者の区分が第1号から第5号まで図示されています。第5号が今回の新設分です。
第5号加入者:60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の者で、iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする者
ここで注意がいるのが「国民年金被保険者以外の者」という部分でした。60歳以上でも厚生年金に入って働いている人は第2号のままです。第5号は、公的年金の被保険者ではなくなった人の受け皿として置かれています。
ちなみに第4号は国民年金任意加入被保険者で、60歳以上65歳未満の人、または20歳以上65歳未満の海外居住者で保険料の納付済期間が480月に達していない人、と定義されていました。
入るには、3つのうちどれかに当たること
第5号になるには要件があります。同じ資料に、こう並んでいました。
- ① iDeCo加入者
- ② iDeCo運用指図者
- ③ 企業年金からiDeCoに資産を移換する者
この①〜③のいずれかに該当し、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者、マッチング拠出を実施していない者であることが条件です。
読み替えると、60歳の時点でiDeCoと縁が切れていた人は、原則として後から入れません。すでに口座を持っている人が続けられるようにする、という設計でした。
3年だけ、要件を満たさなくても入れる
ところが同じ資料に、これをひっくり返す一文がありました。
なお、経過措置として、施行日から3年を経過する日までの間は、上記①〜③に該当しない60歳以上70歳未満の者であってもiDeCoの加入が可能
施行日が2026年12月1日なので、そこから3年を経過する日までが対象期間になります。この期間に限っては、60歳時点でiDeCoを持っていなかった人にも入口が開いているということです。
ただし、こちらにも外れる条件が付いています。資料の注記に、施行日までに老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給した場合は加入不可、とありました。もうひとつの注記では、老齢基礎年金を繰り下げて老齢厚生年金を受給する者は加入可能、とされています。老齢厚生年金だけを受け取っている状態なら、入口は閉じないという読み方になります。
限度額も同じ日に上がる
拠出限度額の引き上げも2026年12月1日施行予定です。厚生労働省の資料から、現在と見直し後を並べます。
| 区分 | 現在 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 第1号(自営業者等) | iDeCo・国民年金基金等 合計で月6.8万円 | 合計で月7.5万円(0.7万円増額) |
| 第2号(企業年金あり) | 月2.0万円 | iDeCo・企業年金等 合計で月6.2万円(最大4.2万円増額) |
| 第2号(企業年金なし) | 月2.3万円 | 月6.2万円 |
| 第3号(扶養される配偶者) | 月2.3万円 | 月6.2万円(3.9万円増額) |
| 第5号(新設) | - | iDeCo・企業年金等 合計で月6.2万円 |
第2号の2つが同じ6.2万円に並びました。いまは企業年金の有無で2.0万円と2.3万円に分かれていますが、見直し後は企業年金等と合計した共通の枠になります。資料には確定給付企業年金(DB)自体には拠出限度額はないという注記も付いていました。
第5号の6.2万円も、企業年金等がある場合は企業年金等と合計しての上限です。枠の名前が変わっただけで、単独で6.2万円積めると読むと外れます。
出口の側から見ると、判断が1つ増える
ここからは制度の話ではなく、取り崩しの設計としてどう効くかです。
これまでは、60歳で拠出が終わり、受給開始をいつにするかだけを決めればよかった。改正後は、受け取りを始めた瞬間にiDeCoの入口が閉まるので、受給開始の判断が拠出継続の判断と一体になります。
公的年金の繰下げについては公的年金と取り崩しの順番で書いたとおり、1か月待つごとに0.7%、最大84%まで増えます。待つあいだの生活費は資産から出すことになる。つまり、待つ判断には原資の話がついてきました。
そこに今回の改正が重なると、60歳以降の数年間は「公的年金を受け取り始めるか」「iDeCoに積み続けるか」「資産から取り崩すか」の3つが、同じ1つの判断の裏表になります。私はこの並びを紙に書いてみて、思っていたより絡んでいると感じました。
私が確認しようと思っている3つ
まだ施行前なので、私の手元でできるのは準備までです。順番はこうしました。
- いまiDeCoの加入者なのか、運用指図者なのかを記録で確かめる(①と②で扱いが違う)
- 企業型DCがある場合、マッチング拠出をしているかを確認する(していると第5号に入れない)
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金を、それぞれいつ受け取り始めるつもりかを分けて書き出す
3つ目は、繰下げの話をしていたときには1つの欄で済んでいました。改正後は、老齢基礎年金を繰り下げて老齢厚生年金だけ受け取る形が加入の可否に関わってくるので、欄を分ける必要があります。
この資料から言えないこと
正直に書いておくと、ここまでは制度の枠の話です。
まず、施行予定と書かれている以上、日付が動く可能性は残ります。2026年12月1日というのは、厚生労働省のページに現時点で示されている予定日です。
次に、60歳以降に拠出を続けた場合の税や受給の細かい扱いは、この2枚の資料には書かれていません。掛金が全額所得控除になる仕組みや、受け取り時の課税の順番は別の話として確かめる必要があります。
それから、積める期間が延びることが自分にとって得かどうかは、この資料では決まりません。手数料を払いながら60歳以降も口座を維持することになりますし、その分だけ現金化が後ろにずれます。制度が開いたことと、使ったほうがいいことは別です。
免責事項
本記事の制度に関する記述は、2026年9月19日に厚生労働省の公表資料で確認した内容です。記載のとおり2026年12月1日施行は予定であり、今後変更される可能性があります。個別の加入可否や拠出額の判断は、運営管理機関または国民年金基金連合会、勤務先の担当部署にご確認ください。本記事は特定の金融商品の購入を勧誘するものではありません。

